まだない母の話をしよう

適当で。



カテゴリ:[ 小説 ]


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[8] (無題)

投稿者: ゲッヒョルン 投稿日:2013年 9月13日(金)16時17分34秒   通報   返信・引用

次の一文は、ある宇宙の歴史についての完全な記述である。

真空で充填された無限の空間に、鉄で出来た立方体がひとつ、永遠に浮かんでいる。

以下は、前述の歴史を正しく解釈するための補足である。
存在する物体が立方体であることから、この空間が三次元であることは理解されたい。我々の住む時空と違って歪みを考慮する必要のない単純なユークリッド空間である。無限であるからどこまでも広がっていてループすることもない。
歴史であるという前提から時間や因果の概念もその宇宙には存在することも理解されたい。ただしこの立方体は回転もせず完全に静止していて、この宇宙にはいかなる変化も生じる余地がない。過去にも未来にも無限に、この宇宙は「現状」を完全に保つ。ゆえに、前述の一文は歴史の全容を完全に説明している。
この宇宙にはいかなる比較対象もないので、この立方体のサイズは記述する意味がない。この物体を構成するのは分子や原子といった分割可能な粒子ではなく、形状の境界が存在するだけの質量である。にも関わらずその潜在的性質は鉄そのものである。一辺と一面の対角線と立方体の対角線の比は数学的必然性から√1:√2:√3と定まるが、その事実から影響を受けるいかなるものもこの宇宙には存在しない。
この宇宙に働く物理法則は、我々の住む宇宙に似ているが一致していはいない。先のユークリッド性や無粒子性についてもそうだし、温度はないし、万有引力は立方体を一切歪めない程度に弱い。法則は歴史を歪めない範囲で定まり、自由度は記述上の意味を持たない。
この宇宙にはいかなる観測者も存在しない。ただ無意味にあり続ける。それを知る我々は記述の範囲外にある特権者である。

この宇宙は何者にも観測されたことが無いゆえに存在しないのと同じ意味しか持たないが、前述の一文によって存在が保証される、とこの一文は主張する。
我々の宇宙の、いずれ訪れるかも知れぬ収縮に際して、我々の語彙もまた折り畳まれてゆくとしたら、「母」は存在の起源や包括者といった特質から、「宇宙」と同じ単語に割り当てられるのは収縮の比較的早期であろう。
これは、まだない母の話である。




[7] (無題)

投稿者: 2k 投稿日:2013年 8月25日(日)20時03分32秒   通報   返信・引用

母さんの手が僕の足を掴んでいた。
「今何か隠したでしょう。母さんに見せなさい」
「気付かれていた…!?何故…!?」
「母さん伊達にこの家に暮らしているわけじゃないわ。
この家のあらゆる物が私のテリトリーの内。
それでもまだ死角は残っていたみたいだけど」
母さんは既に気付いているということか。
獲物を狙う闇夜の狩人……梟のような洞察力だ。



[5] (無題)

投稿者: niv 投稿日:2013年 8月23日(金)17時48分8秒   通報   返信・引用

まさか母さんがコピペなんて使いこなせるとは想定外だった。
つい最近までパソコンのことも「ピコピコ」と呼んでいた母が……
今明かりがついたらエロ本を見られてしまう。僕は足で余剰6次元の隙間にエロ本を押し込んだ。
母さんのガベージコレクションは次元の隙間までは走査しないはずだ。
前に給食の残りの牛乳を入れっぱなしにしたせいでひどく怒られて、以来次元の隙間に物を入れるのはご法度になっているけど……
エロ本は腐らないから大丈夫だ。



[4] (無題)

投稿者: m.m 投稿日:2013年 8月22日(木)07時32分49秒   通報   返信・引用

「かあさん、随分早かったね……?」
「早いって?そりゃそうさね。母さん自分の部屋からたかしの部屋にコピペされて来たんだからね。
こういう時は使えるようになってたろう?じきに父さんも来るはずさ。
まったく、こんなに散らかしちゃってもう……」
“世の中には自分に似ている人が3人いる”というが、
私の元へ辿りついた彼女がまさにそうだった。



[3] ホーム ラビリンス

投稿者: eika 投稿日:2013年 8月21日(水)18時06分54秒   通報   返信・引用

 もう一つの問題とは、お父さんが見当たらない事だ。実は此処、我が家である。
 私達家族は今日、本来は外食へ行き、おいしいフランス料理を食べに行く手筈であった。しかし、各々が外出の仕度をしている最中で一国の広さはあろう我が家は暗闇に閉ざされてしまった。
 私は、我が家に伝わる伝説を想起した。
 何十年も昔の事だ。我が家はちょうど今のように暗闇に包まれた事があるという。ブレーカーが落ちたのだった。
 しかし、私の部屋から母の部屋までは数十キロメートルは離れていた筈だ。
 どうして彼女はこうも早く私の元へ辿りつけたのだろうか。



[2] マイマーザー、マイマーザー!

投稿者: niv 投稿日:2013年 8月21日(水)09時13分41秒   通報   返信・引用

「まったくもう、足の踏み場もありゃしない」
 お母さんである。足の踏み場がないとなれば、お母さんが出てくるのは世の理なのだ。
 ここで問題が2つある。
 お母さんはなぜとんあんのやみ(なぜかへんかんできない)にいるのか?
 そして、もう1つの問題とはなんだったのか?



[1] (無題)

投稿者: 転載eikakka 投稿日:2013年 8月21日(水)09時12分38秒   通報   返信・引用

 脚の踏み場も見当たらない。水底を行く水魚の心持ち。頓闇の洞だった。陰翳を手探るうちは、私に瞳があるのかすらも知り得ない。
「これは」と私は言うと、このか弱い声が響き渡った。
 おもてを汗が伝うが、風が吹く顕れは無い。
この回廊に満ちる酷い空しさに立ち向かうには、私は、どうしたらいい。何しろこの怪物は私すらをも空しさの渦に引きずり込むのだから。しかし、いついかなる時も言葉を遺棄してはならぬ。途端、思わず声を上げていた。
「誰か、いないか」
 暫く、広がった声が沈み込んだ。在るべき形を保つように、個々を静寂が満たした。やはり私は孤独なのか、という空しさが私の凄惨を浮き彫りにし始める。
 ふいに遠く、艶とした琴の音色を聞いた。いや違う、それはまるで楽器のような声だった。私は心を落ち着かせる為に右手を持ち上げて額を拭うと、そちらの方へ歩み出した。
 脚が字面に付くと安堵を覚える。此処に立てるという事の、どれほど心強い事だろう。しかし用心したまえ。用心しなくては、この音色に背を押される事になるぞ。感覚の全てをお前の敵だと思え。さあ、もう十数歩は進んだぞ。そろそろ脚を止めたらどうだ。再び声を出すんだ。言葉を遺棄してはならぬ。
「誰か、人がいるのか」と私は言った。
「ああ、ここに」
 今度はさっきよりも鮮明に声が届いた。美しい声だった。


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